ストリートパフォーマーが路上に設置している投げ銭入れをハックした作品です。観衆がコインを投げ入れると、パフォーマンスをしているアーティストに代わって、感謝の印としてシャボン玉を吹き出します。コインを渡して去るという投げ銭の体験にちょっとのインタラクティブ性とインセンティブを与え、行為そのものを楽しくする装置です。
ストリートパフォーマーはどこの国を歩いていても見かけますが、日本のそれは、他の国を旅行した時と比べて少し様相が異なる、と思ったのがプロジェクトの始まりでした。
欧米を旅行すると、観光地で真昼間からパフォーマンスを繰り広げている人たちがたくさんいて、総じてレベルも高く、明らかにそれで食べていけているような印象を受けます。一方で日本では、仕事帰りの時間になるとポツポツとアーティストが出てくるくらいで、観客もまばら、というケースが目立ちます。
実際にパフォーマンスをして世界を巡ったことのある人に話を聞くと、海外でパフォーマンスをするのと、日本でパフォーマンスするのとでは収入に明らかな違いがあるようで、チップを渡すことに対するイメージや、気恥ずかしさがそうさせているのかも、という話でした。
チップからの収入がきっかけで、パフォーマンスで生活できる人が増え、レベルが底上げされて行ったら面白いのではないかと思い、もう少しこのテーマを掘り下げてみることにしました。
そんな中でヒントをもらえたのが、公園で、あるパフォーマンさんがラジコンを使ってチップを回収している様子でした。
小さなレクリエーションが入っているために子供でも参加しやすく、何よりお金の持つ「いやらしさ」が払拭されていると感じました。
ヒントをもらったところで、ストリートライブに詳しい知人を巻き込みながらプロトタイプを作って検証するプロセスを回して行きました
Version03まで作り、少しづつ実戦投入できるようになっていったところで、プロのストリートアーティストの方にお話を伺う機会ができ、インタビューをさせていただきました。現場の目線でないとわからないことが多く、得られたインサイトを元に、Version4で改善を加えました。
多くのアーティストに触って使ってもらう中で改善と小さなアップデートを繰り返していきました
毎年3月にアメリカのテキサスで開催される音楽とテクノロジーの祭典、SXSWで展示する機会がありました。
より多くのアーティストとコラボするために、演奏を控えているアーティストが自由に演奏できる場として自分たちのブースを提供しました。