TalkStay

TalkStayは、福井市主催のXSCHOOLというデザインスクールプログラムに参加した際に制作したプロジェクトです。人種の多様化する福井市・越前市に在住している在日外国人、特に技能実習生の方に焦点を当て、彼らの日本での暮らしをもっとサポートできるよう、SNS上のホストファミリーを作れないかという提案を行いました。

Role
エスノグラフィックリサーチ
UI/UXデザイン
Client
Private Project
Date
2019/10-2020/02

背景

地方における在日外国人の数は、技能実習生や、メーカーの工場勤務者という形で増え続けています。日本人の若年層が減り、在日外国人の人口は増えていく地方において、両者が共に生きる仕組みを形作っていくことは喫緊の課題と言えます。

特に福井県の福井・越前エリアは工場労働者とその家族が多く生活しており、通りを歩いていて出会う在日外国人の人の数は、体感値で東京よりも多いと感じました。チームの中で海外生活の経験者が多かったこともあり、チームとしてこの課題に取り組んでいくことに決めました。

デスクトップリサーチ

調べてみるとみると、統計上で近日人口比率が増えているのは、技能実習生であることが分かり、この部分に焦点を当てて調査をしてみることにしました

福井県の在留資格別外国人の内訳をみると、実習生の増加率が最も多い。
出典:https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kokusai/gaikokuzin_d/fil/052.pdf
技能実習生の定義
出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/000601286.pdf

1. Discover

フィールドワーク

実際に現地に足を運び、現地の人曰く、実習生がすごしていることが多いという場所を巡るところからリサーチを始めました。公園やスーパーなどで直接声をかけたりもしてみましたが、英語、日本語、いずれの言語でもコミュニケーションをとることが難しく、当初は情報を得ることが非常に困難でした。

地元の人曰く実習生がよく遊びにきているのをみるという公園。子供向けの看板でも3カ国語で翻訳がされている
実習生がよく買い物に来ているというドンキホーテ。4、5人くらいの実習生が乗ってきた自転車が停めてあった。

知人のベトナム人留学生を起点に、2年限定で働きに来ている実習生や、エスニック料理店の店主の方などにお話を伺いました。仕事以外の時間の過ごし方を聞くと、スーパーで売られている調味調で地元の料理を再現することにチャレンジしたり、自転車で6km離れた公園までみんなで食材持ってピクニックに行くなど、当初の想像以上に日本での生活をエンジョイしている様子が浮かび上がってきました。

寮でパーティーを開く様子と、ベトナム人実習生のFacebookページで白川郷への旅行参加者を募る様子
知り合った実習生の方に見せてもらったキッチン。キッチンは5人で共同で使っているそうで、仕事以外の時間は料理をしていることが多いという。調味料の数もフライパンの数もとても多い。調味料は近所のスーパーで見つかるもので地元の味を再現しながらやりくりしているらしい。
実習生がよく遊びに行くと答えていた場所を地図上でマッピングすると、自転車メインの生活のわりに、行動範囲が非常に広いことがわかってきた。

Defining Stakeholder

実習生の話をもとに、取り巻く人物の関係をマッピングしました。職場の同僚や同郷の友人と楽しく過ごす反面、職場以外の人たちとはあまり接点がないことが見えてきました。一方で、彼らをサポートする方法を模索している市のダイバーシティー推進室の方も、看板の表記を翻訳する施策や、日本語教育ボランティア施策などを打っているものの、その実態の把握に課題感を感じていました。

2. Define

Depth Interview

実習生を取り巻く人物の関係をマッピングしました。実習生たちにヒアリングすると、職場の同僚や同郷の友人と楽しく過ごす一方で、職場以外の人たちとはあまり接点がないことが見えてきました。市の共生課も、看板の表記を翻訳する施策や、日本語教育ボランティア施策などを打っているものの、その実態の把握に課題感を感じていました。

課題をより明確にするため、越前・福井地域にすむ日本人の方と、市の職員の方、そして実習生の3者に、お互いのことをどう思っているのか、Zoom上で詳しくヒアリングしました。

越前市の実習生へのヒアリング
通訳を目指していて、職場以外の人と話すことにとても興味があるが、日本語に自信がなくて一歩を踏み出しづらい。例えば献血に参加したいが、そういうことは職場の人には相談しづらい。カジュアルな話題をふれる日本人の知人が欲しい。
福井市の職員の方へのヒアリング
福井市には数年前から共生課という部署が設けられ、公共施設の表示の多言語化や、多言語対応した飲食店・ホテルにインセンティブを与えるなどの施策を行ってきた。避難訓練などののプログラムも組み、Fabebookなどで発信していましたが、市の広報物を見て避難訓練に来るのは1名程度で、手応えのなさを感じている
越前地域の方へのヒアリング
職場の清掃をする若い外国人の方を見て、住んでいる場所の楽しさを知れる機会はあるだろうかと心配になることがある。せっかく自国を離れて遠くまで来ている外国人に、日本、そして福井を好きになって欲しい。

Insight from Interview

漠然と日本人と在日外国人の間に接点を持たせたい、と考えていましたが、インタビューを通して3者に共通した興味・関心ごととして、「在日外国人が、福井の地でできること(ケイパビリティ)を増やす」というのが一つ大きなテーマになることが見えてきました。実習生の中には、献血をしたり、避難訓練をしたり、日本人側の想像を飛び越えてやりたいことがたくさんあり、お客さんとしてよりも、社会の乗員として、地域に参加したがっているということが見えてきました。また、彼らを気にかけている地域住民の方もまた、それを望んでいて、手助けしたい、と思っている人は少なくありませんでした。

3. Develop

実習生が日本にいてできること、行動の範囲を広げていけるように、安全性を確保した上で、LINEチャットのような形で気軽に接点の持てるSNSホストファミリーのようなサービスを提案しました。日本でできることの範囲を広げたい外国人実習生と、彼らのサポートしたい日本人をマッチングさせ、「献血どこでやるの?」「この標識どういう意味?」「この調味料どこで買ったの?」と言った日常の小さな困りごとや疑問をチャットで聞きあえるアプリです。

日常生活の小さな疑問や質問、困りごとを聞ける「相方」が存在することで、今まで踏み出せなかった行動が一歩踏み出せ、自分の街として感じられるようになることを目指しました。

Prototyping

実際に最低限のチャット機能とマッチング機能をxcodeで実装し、コンセプトテストに耐えうるプロトタイプを作成しました

ホスト(サポートする)側
ゲスト(サポートされる)側

4. Deliver

Usability Test

ヒアリングさせてもらった実習生の皆さんに、制作したプロトタイプを触ってもらいました。

・ 日本語に自信がないのがコミュニケーションのネックだったので、自動でチャットを翻訳してくれるのは嬉しい
・ 友人経由での招待制でユーザーが増えていくと安心して使える
・ おすすめのレストランを教えてもらったり、料理を教えあったりするのに使いたい

など、ポジティブな反応をもらうことができました。

Delivering Apps / リーチする方法を考える

アプリを実習生の間にリーチさせる方法についても、彼らの暮らしを観察させてもらう中でヒントを模索していきました。

自動車を持たない実習生にとって、メインの交通手段は自転車です。実習生の生活風景を観察していると、自転車の荷台にスーパーでもらった段ボールを載せ、大量の食材を運ぶ風景が多く見られました。

そこで、スーパーで無料で配布している段ボールにアプリのダウンロードQRを載せれば、自転車に載った段ボールが動く広告塔となってアプリの紹介をしてくれるのではないかと考えました

越前市の武生エリアでよく見かける光景。荷台に載せているのはスーパーでまとめ買いした食品。
アプリダウンロード訴求ステッカー
これをスーパーで配布しているダンボールに貼り付ける。

Related Works

Password Required
City and Dots website
2017
フロントエンド
Password Required
BUBBLY
2016
プロダクトデザイン、回路設計、機構設計、プロジェクトリード
Password Required
Daily UI
2019
UIデザイン
Password Required
Framer Cheat Sheet
2020
UIデザイン
Password Required
TalkStay
2020
エスノグラフィックリサーチ、UI/UXデザイン





Keep in touch ! 🙌

Thank you! Your submission has been received!
Oops! Something went wrong while submitting the form.